ワクチン接種により獲得する抗体量は、自然免疫の15~20倍程度
時事通信や日経新聞は、ワクチン接種後、半年で抗体価が90%減弱する、というニュースを伝えています。
コロナ感染流行の当初、アストラゼネカ製ワクチンの開発に関与している、サラ・グリーン・オックスフォード大学教授などは、BBCで、抗体の有効期間は数年程度ではないか、という見解をしめしていましたが、実際は、半年程度しかもたないことがわかりました。
以前から気になっていた抗体価の話です。
これまで使用されていたワクチンは、不活化ワクチンというもので、弱毒化したウイルスか菌を、意図的に人体に感染させることによって、人体内に抗体を作り出す、という手法でした。
この場合、実際のウイルスなり菌なりに感染しているので、生成される抗体は、自然免疫だということになります。
ただ、今回、欧州、米国、日本などで広く接種されているワクチンは、不活化ワクチンではなく、mRNAワクチンです。
つまり、不活化ワクチンとは根本的に仕組みが違います。
そこで、mRNAワクチンではどの程度の抗体価が獲得されるかを調べてみました。
上記サイトによると、抗体価は次のようになります。
・ウイルス未感染者の場合
ワクチン未接種者 0.8
1回接種者 100
2回接種者 1,974
・ウイルス既感染者の場合
ワクチン未接種者 100(自然免疫の抗体価)
1回接種者 10,000
2回接種者 43,073
となっています。
ウイルスに感染して獲得する自然免疫の抗体価は、100であることがわかります。
ネットで調べていくと、和歌山県庁が作成している抗体価の資料などでは、自然免疫の15倍程度、上記サイトのファイザー製ワクチンの統計では、自然免疫の20倍程度の抗体を獲得していることがわかります。
このように考えてみると、人類はこれまで自然免疫しか獲得したことがなかったのですが、遺伝子そのものに作用するmRNAワクチンによって、これまでに獲得したことがないような高い抗体量を得ていることがわかります。
上記サイトでは、未感染者と既感染者とさらに分析されていますが、既感染者の場合、2回のワクチン接種によって、実に自然免疫に400倍の抗体が生成されていることがわかります。
世界の昨今の状況を見てみると、半年程度でワクチンの効果が減弱していて、感染予防効果も減弱して、ブレイクスルー感染がおこるという状況になってきているようです。
たとえば、2回接種によって、1,974の抗体価を獲得したとして、9割減弱した場合、抗体価は10分の1の197.4になります。
つまり、9割減弱しても、自然免疫の2倍の抗体価であることがわかります。
これからわかることは、新型コロナウイルスに感染して形成される自然免疫では、感染防止はおろか重症化防止効果すらないかもしれない、ということです。
実際、どの程度の抗体価があれば、重症化を防止できるか、感染防止にはどの程度の抗体が必要かがまだわかってないらしく、今度の研究が待たれるところです。
ワクチンが半年しか効果がなくても、次は経口薬がある、という話もありますが、新型コロナウイルスは、基本的に風邪のウイルスの一種です。
昔から、風邪を治す薬はないといわれていて、風邪薬は風邪を治す薬ではなく、症状を抑える薬であることは覚えておいたほうがいいかもしれません。